CPS(Calls Per Second)は1秒間に新しく発生する呼の数、同時通話数は同じ時点で維持されている呼の数です。CPSは発信試行・受付・接続成功のどこを数えた値かを明記します。
同じ範囲の呼を数え、到着と終了が安定した状態では、平均同時呼数 ≒ 接続した呼の到着率(呼/秒)×平均呼保持時間(秒)で概算できます。これは平均値の関係で、急な着信集中時の最大同時通話数をそのまま求める式ではありません。
この記事でわかること
- CPS・同時通話数・呼保持時間の違い
- 条件をそろえた計算例と、その限界
- 試験計画に落とし込むための確認項目
1.CPSと同時通話数はどう違う?図で確認する

お店に例えると、CPSは「1秒間に入ってくるお客様の数」、同時通話数は「その時点で店内にいるお客様の数」です。店内に長く滞在するほど、同じ来店ペースでも人数は増えます。
電話も同様です。短い案内で終わる呼が多い窓口と、長い相談が多い窓口では、同じ同時通話数でも電話の入れ替わる速さが異なります。
2.CPSは「何を数えた速さか」まで確認する
CPSはCalls Per Secondの略です。試験計画では、単に「5 CPS」と書くだけでなく、何を数えた値かを明記します。
- 発信試行のレート:ツールが1秒間に電話をかけようとした数
- 受付のレート:対象の装置やサービスが受け付けた呼の数
- 接続成功のレート:接続まで成立した呼の数
これらは、失敗や制限があると一致しません。例えば毎秒5回発信しても、毎秒4呼しか接続しなければ、接続した呼の増え方は4呼/秒です。
SIPという接続制御の信号を数えるカウンターもありますが、再送や通話途中の信号を含むかによって「電話の本数」とは違う値になります。機器の説明書でカウンターの定義を確認してください。
3.同時通話数と、担当者の人数は同じではない
音声案内を聞いている電話や、担当者につながるのを待っている電話も、回線やシステムを使用しています。そのため、担当者が100人だから同時通話数も100とは限りません。
例えばAmazon Connectの公式資料では、同時アクティブ通話数に、フローで処理中・キューで待機中・担当者が対応中・アウトバウンドの呼が含まれます。出典:AWSのサービスクォータと呼の数え方
また、1本のお客様の電話が、機器上で複数の接続区間やセッションとして扱われる場合もあります。利用者から見た通話数と、SBCなどが数えるセッション数を、そのまま同じものと扱わないようにしましょう。
4.呼保持時間が分かると、概算できる
同じ範囲の呼を数え、到着と終了が安定している状態では、次の関係を使って平均的な数を概算できます。
平均同時呼数 ≒ 接続した呼の到着率(呼/秒)× 平均呼保持時間(秒)
例えば毎秒2呼が接続し、それぞれ平均180秒維持されるなら、2×180=約360呼です。これは仕組みを理解するための計算例で、サービスの性能上限や必要な契約数を示すものではありません。
| 例 | 接続した呼の到着率 | 平均呼保持時間 | 平均同時呼数の概算 |
|---|---|---|---|
| 短い案内中心 | 2呼/秒 | 30秒 | 60呼 |
| 長い応対中心 | 2呼/秒 | 180秒 | 360呼 |
| 短い呼が頻繁に入れ替わる | 12呼/秒 | 30秒 | 360呼 |
下の2例は同じ360呼でも、接続を開始する頻度が違います。接続処理の負担を見たい試験と、呼を維持する負担を見たい試験では、条件を分ける必要があります。
同時に維持する呼の数が整理できたら、VoIPの必要帯域と同時通話数の計算で、音声データにヘッダーなどを加えた通信量も確認できます。
5.計算式だけでピーク値を決めない
上の式は平均の関係です。急な着信集中、通話時間のばらつき、失敗、放棄、負荷を上げ始めた途中の状態では、単純な計算どおりに推移しません。
例えば1時間に3,600呼なら、時間平均は1呼/秒です。しかし、全体の多くが最初の10分に集中しているかもしれません。時間平均のCPSだけを試験しても、短時間のピークを再現したことにはなりません。
また、オペレーターの平均処理時間には、電話を切ったあとの記録作業が含まれることがあります。後処理時間を回線の保持時間にそのまま足さないようにします。人員計画と電話システムの負荷計画では、必要な時間の定義が違います。
急な着信集中をどの形で再現するかは、負荷試験・ストレステスト・スパイクテストの使い分けで整理できます。平均の呼量と、ピークの増え方・持続時間を分けて計画しましょう。
6.試験計画に書くべき5つの条件
- 数える位置:発信元、回線、SBC、クラウドなど、どこで測定するか。
- 発信の速さ:開始CPS、増加幅、最大値、急増の有無。
- 維持する時間:案内・待ち・会話をどこまで含めるか。
- 呼の種類:発着信、転送、案内だけで終了する呼などの割合。
- 結果の定義:接続・シナリオ完了・音声の何を成功と数えるか。
| 記入項目 | 計画で決めること | 実行後に残すこと |
|---|---|---|
| 観測位置と呼の範囲 | 発信元/SBC/クラウドのどこを数えるか | 使用したカウンター名と取得区間 |
| 発信・受付・接続CPS | 開始値、最大値、増やす時間、集計間隔 | それぞれの実測値、失敗・制限の件数 |
| 呼保持時間 | 案内・待ち・会話を含む区間と想定分布 | 実際の保持時間と途中終了の扱い |
| 同時呼・セッション数 | 最大値と、1通話を数える単位 | ピーク値、転送等で増える接続区間 |
| 結果の判定 | 成功・中止・回復の条件 | 合格/不合格/未確認とその根拠 |
サービスや装置の上限も、この条件と照合します。Oracle SBCの例では、同時セッション数と呼の発生レートを別々に制約として設定できます。参考:Oracle公式のセッション制約。項目や数え方は利用製品ごとに確認します。
7.相談するときは、数字の根拠も一緒に
「最大500通話」という数字だけでなく、いつの実績・予測か、呼の長さ、短時間の集中、発信と着信の割合を共有すると、試験条件が決めやすくなります。データがない場合も、仮定した条件を明記して段階的に具体化できます。
想定するCPS・同時通話数・呼保持時間が整理できたら、実際のコールフローを含む試験条件へ落とし込みます。Cruncherによる負荷パターンの再現と試験支援をご覧ください。既存の着信レポートや構成をもとに、負荷試験の条件設計を相談することもできます。
試験条件を実環境の構成へ落とし込む際は、Genesys CloudのCPS・同時通話数を検証する負荷試験サービス、またはAmazon Connectのピーク着信とフローを確認する負荷試験サービスをご覧ください。対象基盤に合わせて、経路・外部連携・実施条件を整理します。
クラウド側の実施条件は、Genesys Cloudの負荷試験ガイドとAmazon Connectの負荷試験ガイドで確認できます。対象サービスに合わせ、承認手続きと利用上限を別々に整理します。
まとめ:速さ・数・時間を、同じ定義でそろえる
CPSと同時通話数は、どちらか片方では置き換えられません。呼保持時間と組み合わせ、どこで何を数えた値なのかを明確にすることで、実際の業務に合う試験計画になります。
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公式資料の確認日:2026年9月18日。利用条件や仕様は、実施前に最新の情報をご確認ください。