AI・ボット品質の基礎|第9回
ボットが対応できない場合に、担当者へ確実につながることも品質の一部です。「転送します」と答えただけでは、引き継ぎが完了したとはいえません。会話・接続・情報の受け渡しを分けて確認する方法を説明します。
1. 引き継ぎを一つの業務フローとして見る
有人対応への引き継ぎには、引き継ぐ判断、利用者への案内、接続要求、担当者による受付、必要情報の表示などが含まれます。どこまでがボット、どこからがコンタクトセンター基盤の担当かを整理します。
Botiumを使う試験でも、接続したボットの応答から確認できる範囲と、担当者側の画面や受付システムで確かめる範囲を分けます。全体を観測するために追加の連携や別の確認手順が必要な場合があります。
会話から見える結果と業務側の結果を分ける方法は、AIエージェントの実処理結果を確認する方法でも説明しています。

2. 引き継ぐ条件を先に決める
利用者が担当者を希望したとき、ボットが必要な情報を取得できないとき、業務上人の判断が必要なときなど、きっかけを整理します。自動解決率を上げるために、必要な引き継ぎを妨げない設計が大切です。
同じ確認を繰り返すだけの会話も試験します。何回の聞き返しで切り替えるか、どの用件はすぐ案内するかは、業務方針として決めます。全利用者に共通の回数を根拠なく当てはめる必要はありません。
| 場面 | ボット側の確認 | 担当者・基盤側の確認 |
|---|---|---|
| 担当者を希望 | 希望を受け付け案内 | 正しい窓口で受付 |
| 会話で未解決 | 未解決の内容を整理 | 要約と履歴が一致 |
| 条件を訂正 | 最新の条件を採用 | 古い条件が残らない |
| 営業時間外 | 代替手段を案内 | 受付可能な経路へ接続 |
| 接続失敗 | 未接続を説明 | 誤受付・重複がない |
3. 引き継ぐ情報を必要な範囲に絞る
担当者に渡す情報には、用件、確認済みの条件、未解決の内容、認証状態などがあります。長い会話をそのまま渡すだけでは、担当者が何をすればよいか分からないことがあります。
要約に未確認の情報が混じっていないか、利用者の訂正が反映されているかを確認します。担当者に不要な秘密情報を含めないことも大切です。認証状態は、会話中の自己申告とシステムで確認した状態を区別して受け渡します。
4. 受付できない場合の動作も試す
営業時間外、担当者不在、接続先エラーなど、引き継ぎが成立しない条件を用意します。つながっていないのに「接続しました」と伝えたり、利用者を無音のまま待たせたりしないかを確認します。
折り返し受付や問い合わせフォームなどの代替手段がある場合は、利用可能な条件と案内内容を確認します。待ち時間を案内するなら、実際に取得した情報なのか固定文なのかを区別し、根拠のない時間を約束しないようにします。
5. 両側の記録を照合する
試験ごとに識別子や時刻を残し、ボット側の転送要求と担当者側の受付を対応付けます。受け渡した内容が別の利用者の会話へ混ざっていないかも確認します。
合格条件は、正しい宛先への到達、必要情報の表示、重複受付の防止などに分けます。引き継ぎを「ボットの失敗」と一括りにせず、必要な場面で正しく使える機能として品質を管理します。
Salesforceを利用する構成では、Salesforce連携の画面ポップ・記録の検証を参考に、担当者側で確認する情報を整理できます。
6. 具体例で確認する
以下は説明のための仮想例です。
架空の配送相談で、利用者が最初に「住所変更」と言い、途中で「住所はそのままで配送日の変更」と訂正したとします。担当者へ渡す要約が住所変更のままなら、接続が成功しても不合格です。正しい用件、確認済みの注文、未解決の希望日が担当者側に届いたかを確認します。
7. 最初に確認する三つのこと
- 引き継ぎの開始条件と完了条件を書き分けます。接続要求を送った時点と、担当者が受付した時点を区別して記録します。
- 担当者側で必要な情報を決め、要約の正しさを元の会話と照合します。利用者が訂正した条件と、本人確認の状態を重点的に確認します。
- 営業時間外や接続失敗を試せる条件を用意します。代替手段を案内した後に、利用者が実際に次の手続きへ進めるかも確認します。
参考資料
参照日:2026年9月30日。表と具体例は試験設計の提案です。製品の対応範囲・接続方式・利用できる機能は導入構成に合わせてご確認ください。
AI・ボット品質の試験をご検討の方へ
対象ボット・チャネル・業務と合格条件を整理する際は、Botiumによるチャット・音声ボットの品質検証をご覧ください。ボットの会話・業務シナリオの試験を相談するから、自社の構成に合わせた確認範囲をご相談いただけます。