ResolveAX活用の基礎|第8回
音声障害の引継ぎには、発生日時とタイムゾーン、通話識別子、聞こえない方向、端末・接続条件、実施した確認と結果を記録します。ResolveAXなどで取得した情報と本人の申告を対応付け、観測した事実と原因の推測を分けます。
1. 通話を特定できる情報を残す
発生日時とタイムゾーン、担当者、業務で使用する通話識別子を記録します。お客様の電話番号を必要以上に転記するより、権限のある担当者が元の記録へたどれる方法を選びます。
「午前中」「最後の通話」のような表現は、時間がたつと分からなくなります。申告時刻と実際の発生時刻も区別します。

2. 症状と事実を分けて書く
聞こえた症状は「お客様の声が約数秒途切れた」、観測情報は「同じ時刻に受信側指標が変化した」というように分けます。「家庭の回線が悪い」といった推測は仮説欄に残します。
直前の操作、使用機器、接続方式、他の通話での発生有無も役立ちます。自動で得られる情報と、本人から聞く情報を分ければ、申告時の負担を抑えられます。
| 項目 | 記録例 |
|---|---|
| 症状 | どちらの声がどう聞こえたか |
| 対象 | 発生日時・通話識別子 |
| 実施済み | 操作と結果、変更した条件 |
| 未確認 | 追加で調べる対象 |
統計値を添付するときは、通話品質指標の単位・方向・時間幅の確認を行います。調査全体の進め方は、音声障害の切り分け手順と合わせて整理できます。
3. 一つの通話から共通条件へ広げる
対象通話を確認したら、同じ担当者の前後の通話や、同じ条件の他の担当者を比較します。共通の変化があれば、端末だけでなく接続やサービス側へ調査を広げます。
比較対象の時間帯や稼働状況が違う場合は、その違いを明記します。異なる条件の平均値だけを比べても、原因候補を誤って絞る場合があります。
4. ログの共有範囲を決める
公式ページは、品質情報と環境変化の照合やWebRTCログの活用を紹介しています。どのログが取得できるか、保存期間、閲覧権限、外部提供の手順を導入時に確認します。
通話品質の情報を得られることから、会話内容の録音や全文記録もあると推測してはいけません。調査に必要な情報の種類と、実際に取得している範囲を区別してください。
5. 調査結果を次の対応へ戻す
原因が確認できたら、対処内容と再確認結果を残します。未解決の場合も、否定できた仮説や未確認の条件を残すことで、次の担当者が同じ作業をやり直さずに済みます。
引き継ぎ品質は、添付ファイルの量ではなく、対象を特定し次の調査へ進めるかで評価します。問い合わせ票を定期的に見直し、使われない項目は整理します。
6. 具体例で確認する
以下は説明のための仮想例です。
引き継ぎ文の例は、「2026年10月6日10時15分ごろ(日本時間、UTC+09:00)の対象通話で、お客様の声が途中から途切れました。別通話では再現していません。使用機器と接続方式は通常どおりで、設定変更は未実施です」です。ここに通話識別子と許可された参照先を添えます。原因の推測を長く書くより、時刻・方向・発生範囲・実施済みの確認をそろえたほうが調査を開始しやすくなります。
参考資料とご相談
本記事で参照した資料:Cyara公式資料。本記事の手順や表は運用・試験設計の例です。利用できる項目や連携は導入構成に合わせて確認してください。
端末・ネットワーク情報を使った切り分けの支援範囲は、Cyara ResolveAXの機能と導入支援をご覧ください。対象環境、現在取得している情報、引継ぎ時の課題を整理し、エージェント環境の障害対応・運用設計を相談することができます。