Pulseで考える電話サービス監視|第6回
音が聞き取りにくいことと、案内が始まるまで長く待つことは、どちらも電話の使いにくさにつながります。しかし、原因も測り方も同じではありません。Pulseを使った監視では、音声の確認と各段階の所要時間を分け、同じ条件で変化を追うことが重要です。
1. 音と時間を別の項目にする
音声品質では、途切れ、雑音、ひずみ、音量などが論点になります。応答時間では、発信してから応答するまで、番号入力から次の案内まで、転送から受け側の応答までなど、開始点と終了点を決めます。
「応答時間が3秒」という数値だけでは、どの区間か分かりません。項目名に測定範囲を含めると、担当者間で同じ意味として扱いやすくなります。接続までの時間と、会話中の片方向音声遅延も別です。
音声スコアの測り方は、MOS・PESQ・POLQAによる音声評価で確認できます。
待ち時間の数値を比較する際は、音声遅延とRTTを区別することも重要です。

2. Pulseで確認する指標を構成に合わせる
Pulseの公式資料では、音声を含む利用経路の監視や、定めた時間条件を満たさない場合の通知が説明されています。音声の評価方法、利用できる指標、両方向の確認範囲は、テスト構成と対応機能を確認して決めます。参考:Cyara Pulse製品情報
すべての構成でMOS、パケット損失、ジッターなどが同じように得られると仮定しないでください。監視したい指標を先に定義し、Pulseで確認する項目と、端末・ネットワークなど別の観測で補う項目を整理します。
3. 正常時の基準を残す
本格運用の前に、同じ発信条件、同じシナリオ、同じ受け側で結果を集めます。平常時にどれくらい変動するか、時間帯で傾向が違うかを確認し、許容範囲を業務側と決めます。
たまたま速かった1回だけを基準にすると、通常の変動まで異常と判定しやすくなります。一方、もともと不便な状態を基準にすれば、改善すべき問題を見逃します。過去の実績と、利用者が許容できる条件を合わせて考えます。
4. 平均だけでは見えない変化を探す
例えば10回中9回は案内開始まで短時間でも、1回だけ大きく遅れた場合、平均値では目立たないことがあります。試行ごとの結果、遅い試行の件数、同じ時間帯の傾向を確認します。
音声評価も同様です。一つの平均スコアだけで全通話の品質を説明せず、低下した時刻、対象番号、方向、確認段階を対応づけます。テスト条件が変わった前後では、見かけの変化を障害と誤認しないようにします。
一時的な悪化を見落とさないために、MOSの平均値と短時間の悪化の読み方も参考にしてください。
5. 調査に使える結果を残す
- どの番号・発信条件・シナリオで実行したか。
- どの段階の音声または時間が条件から外れたか。
- 同じ時刻に別の経路でも変化したか。
- システムや監視条件の変更がなかったか。
記録できる音声や結果の詳細は、利用機能と保存方針に従います。別の測定系の指標を並べるときは、観測範囲、時刻、単位を合わせます。音声が悪いという結果だけで、回線の帯域不足を確定しないことが重要です。
6. 小さな悪化を運用改善につなげる
完全な接続失敗だけでなく、応答が徐々に遅くなる、特定の時間帯に確認失敗が増える、といった変化にも着目します。実行件数の増減やシナリオ変更を確認したうえで、調査すべき傾向かを判断します。
定期テストの観測範囲を理解し、実通話の申告や機器監視を組み合わせてください。継続監視の目的は数値を蓄積することではなく、利用者が困る変化に気づき、必要な対応につなげることです。
電話サービスの継続監視について相談する
代表番号・重要経路・監視時間・通知先を整理する際は、Pulseによる電話サービスの外形監視をご覧ください。監視する電話番号・経路と運用体制を相談するから、自社の構成に合わせた確認範囲をご相談いただけます。